人間ドックは法定健康診断とは異なり、検査内容や料金は実施施設が自由に決めることができます。そのため、各医療施設では検査内容が異なる複数のコースを設けて、様々な受診者のニーズに対応できるようにしています。人間ドックのコースの中で最も受診者が多いのは日帰りのコースです。日帰りコースでは午前中に実施施設に訪れて、3時間から4時間程度の時間を使って全ての検査を受けていく形式が一般的となっており、施設によっては全部の日程が終わった後に昼食をサービスしてくれることもあります。

日帰りのコースでは一般的にどのような検査が行われるのかというと、まず最初に行われることが多いのが血液検査にまわすための血液の採取です。ここで採取されたサンプルで、肝臓がんや肝機能障害などの肝臓の疾患や、腎臓の疾患、動脈硬化、高脂血症、糖尿病、膵臓がん、貧血、栄養不足、ネフローゼ症候群など、様々な病気の発症可能性を時間をかけて調べます。採血終了後に行われることが多いのは身体測定です。ここでは、肥満度やメタボリックシンドロームの診断をするために身長、体重、腹囲を測定したり、高血圧の可能性を調べるために収縮期の血圧と拡張期の血圧を測定したりします。

視力や聴力もこの段階で測定されます。日帰りの人間ドックではこの他に、胃部レントゲン検査や内視鏡検査、超音波検査により胃をはじめとする腹部の状態を調べたり、肺機能検査や胸部レントゲン検査により肺を中心とした胸部の状態を調べたり、心電図検査により心臓の疾患や不整脈の発症可能性を調べたりします。そして、これら医療装置をつかった検査が終わった後、内科医の診察を受ければ検査が終わります。順調にすすめば、一連の検査が終わるのは正午頃になり、午後から仕事がある場合は勤務先へ向かうことができます。