タイの医療施設は都市と地方、また対象とする患者によって水準が大きく異なります。地方での医療環境は良いとは言えず、設備や衛生環境、医師の知識や技術は日本と比べものになりません。しかしタイの首都バンコクをはじめとする大都市の公立病院や一部の私立病院は、診察にかかる費用は高額になりますが高い医療技術を有している病院も多く、安心して治療を受けられます。タイには世界の様々な国から観光客が訪れますが、バンコクで観光の目玉として力を入れているのが医療ツーリズムです。

医療ツーリズムとは、病気や怪我の治療、健康診断などを目的として医療水準の高い、もしくは同等の医療で治療費用が安い国などに渡航する事です。外科手術を伴う治療では、その後にリハビリを行う必要があるため、滞在が長期化する傾向にあります。そのため患者に付き添う家族はホテルに宿泊しなければならず、また看護を行いながら観光によって時間を消費するのが日常とないます。このように医療ツーリズムは観光産業にも大きな経済効果を与える事から、各国が注目しています。

バンコクの病院の中には東南アジア屈指の高度医療を提供できる場所もあり、医師は多国籍のチームが編成されています。さらに多くの通訳スタッフが勤務して、外国人の患者に向けた支援を行えるようサービスが整っています。大掛かりな治療でなくても、健康診断や人間ドックといった短期間のツアーもあり、観光ついでに高級ホテルのようなサービスが受けられる一泊二日の健康診断を受けに行く人も少なくありません。